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 市民自治井戸端会議
 学習会「ポイントが貯まる図書館は快適ですか?−武雄市立図書館の事例−」(7)川原敏昭さん
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−川原敏昭さん補足説明−

【川原敏昭さん】
こんにちは。武雄市図書館・歴史資料館を学習する市民の会の川原と申します。よろしくお願いします。わたしの方からは先ほどの先生の補足をさせていただこうかと思います。

まず、改装前と改装後でどう変わったかというのが一番重要かと思います。資料5、こちらの方で説明させていたこうかと思います。

まず、先ほど先生のお話がありましたように、これは書店だということなんですけれども、まず一番最初の左側が以前の図書館ですね、右側が現在の図書館というようになっています。一番特徴的なのは入ってすぐのところにツタヤ書店の売り物の本が平積みされているということです。今現在はちょうどクリスマス前になりますので、クリスマスの本を展示してあります。そうすることでどういうことが起こるかというと、子どもたちが入ってくると、子どもたちはみんな興味津々でその売り物の本を手に取るんですね。そうすると、お母さん方、なかなか子どもたちは手に握ったら離すことは難しいので、仕方なく購入されてしまうということです。児童書コーナーというのはこちらの改装後の図を見ていただくと、一番奥の方に押し込められたような状態になってますので、そこに行く前に既にそのような状態で、商業主義の施設が前面にでてきていることの弊害として、お金を使わされるような仕組みができてしまっているというようなことです。もちろん、クリスマスに限らずイベント的な仕掛けがしてあったり、今は置いていないんですけれども、市長の書いた本が置いてあったり、そういうようなことがあったりしてあるわけです。

次に子どものコーナー、今現在私どものホームページの方からスライドを見ていただけると一番わかりやすいのですけれども、以前は武雄の読み聞かせの部屋というのが、武雄市には樹齢3000年を超える大楠が3本あります。そのちょうど根元のところには大きな穴がありまして、ちょうど子どもたちが入れるぐらいのスペースになっているんですね。その武雄の象徴である祠(ほこら)をイメージしたような読み聞かせの部屋がきちんと設計して作ってありました。先ほどの伊万里は登り窯の読み聞かせの部屋でした。例えば、長崎のたらみ図書館だと海の近くにありますので、貝殻の形をしたような読み聞かせの部屋を作ってあります。だいたい、ひとつの判断基準として、全部はそうだとは、予算的な関係もありますので言えないと思うのですけれども、子どもたちの読み聞かせの部屋がよく考えられて設計されているかどうかというのが一つのいい図書館かどうかの基準になるのかなと思うんですね。武雄の象徴であるような読み聞かせの部屋というのを潰して、一番奥の板貼りのような部屋に児童書、読み聞かせの部屋、部屋とも呼べないところですけれども、資料4の上から2段目の右側の一番奥のところですね。部屋とかは何もなくなっています。

次に一番下のところですが、これが2階の高層書架という形ですね。高層書架もこれは高層書架にしなければいけなかっのだとわたしは考えているんですけれども、こちらの改装後のところを見ていただくと、ここの部分にツタヤ書店とスターバックスが入っていますので、以前ここに図書館の本がありました。ですので、ここにスペースを作るためにバックヤードを潰して、ここにあった本を上にのっけないと全部入らないような状況になるんですね。なので、どうしてもツタヤ書店、スターバックスを入れるために図書館の本を収容しなければいけないわけで、ですので後付けの理由かもわかりませんし、本当のところはわかりませんけれども、圧倒的な本を見せるとか何とか言って高層書架に押し込めてしまうと、つまり本は今、飾りのような状況になっているわけですね。

それと、一番象徴的なのが次のページをご覧いただきたいのですけれども、上から2番目のところですね、左が蘭学館といって武雄の象徴で市民の財産である歴史資料を展示してあったところです。武雄というのは日本で最初に西洋式の大砲を作ったところです。武雄にしかない蘭学書、資料というのが大量にあります。5月、6月ぐらいでしたか、九州にある国立博物館で武雄の蘭学展というものが開催されましたけれども、それぐらい貴重な資料が展示してあったところです。そこを今度の改装でどのようになったかというと、それが右側のところですね。市民の歴史的な資料ではなく、CD、DVDのレンタルコーナーにされてしまいました。今、その資料は倉庫に保管してあるそうです。完全に商業施設として生まれ変わったということですね。

スタバのコーナーにしても、以前はそこは子どもの読み聞かせの部屋だったんですね。ここを利用している方々の何人の方が意識してらっしゃるかわからないのですけれども、自分たちがコーヒーを飲んでいるスペースが以前なんだったのか、子どもたちのためによく考えて設計してあったスペースを潰して、潰された後のスペースで自分たちは、飲んでらっしゃる方が悪いとかそうことを言うつもりはないんですけれども、子どもたちの大切な本に触れるためのスペース、そういうのを潰した跡地で自分たちが雑誌を読みながらコーヒーを飲んでいるという自覚がおありなのかどうか、そこまでしておしゃれさというのが大事なのか、ここまで商業主義的なものを図書館に導入する必要性がどこにあるのか、というのがわたしには到底理解できないです。もう少し、商業主義的なものを入れるにしてもやりようがあったのではないかなと思います。

この改修にあたっての行政の進め方等を見ていると、市長の独断専行で、とにかくCCCと組むということが前提になって進められていたというようなイメージがあります。原因はいくつかあると思うんですけれども、重要な要素としてはトップの図書館に対する理解のなさですね。トップが書店と図書館の区別がついていない、そういう市長が暴走すると、こういうことが起こりうる。象徴的なのは、先ほど紹介のありました伊万里の図書館の市長は、実は図書館フレンズの会員です。で、伊万里の市長は指定管理にはしないと。指定管理にするということはこういう危険性を含んでいるということですね。これは武雄に限った話ではなくて、これから図書館だけに関していうと、指定管理を導入しようとしている自治体もこれからどんどん増えていくような感じです。先ほどの先生のお話からあったように、図書館の指定管理の特徴としては、企業に委託する、指定管理に指名するということが特徴として多い。企業はどうしても利益を出さないとダメです。そうすると当然ながら商業主義的なものが前面に出てくるということになると思います。ですので、商業主義的なものが悪いかといわれればあれですけれども、もう少し手順をじっくり踏んでいただいて議論を尽くしていただいた上で指定管理なりなんなりにしていただかないと武雄のようなことになってしまいます。ということを私は訴えたいと思います。こんなところでよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

−川原敏昭さん補足説明終了−

−続いて質疑応答−

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