監査委員不在国賠訴訟 |
合併により監査委員が不在になることへの法的不備を問題にするためには、慰謝料請求で争うしかなく、2001年2月9日 東京地裁に国家賠償請求事件として提訴しました。 原告は西東京市民8名。 被告は国及び西東京市。 請求の理由は次の2点です。 訴状全文(PDF) (1)2000年12月13日に、保谷市監査委員に対して市長交際費に関する住民監査請求を行なったものの、2001年1月21日に保谷市と田無市が合併したため、監査委員が不在になり、60日以内に適法な監査結果を受ける権利を侵害されたこと (2)そのことにより、新市西東京市の市長選挙前に市長を選ぶ判断材料が奪われたことに対して、慰謝料の請求を行なった 民事13部(合議)高田健一裁判長の下で、口頭弁論が4月、6月、7月、9月と開かれ、準備書面のやり取りのみで終結。 同年11月に判決となり、住民側敗訴となりました。 判決の要旨は 地裁判決全文(PDF) (1)合併により監査委員が不在となり、60日以内に監査をできなかったが、その場合、住民訴訟を提起できるので権利侵害にはならないこと (2)監査結果を市長選の判断材料にできるとしても、それは監査請求制度からもたらされた効果にすぎないから、監査結果が遅れて市長選の判断材料にできなかったからといって、監査請求する地位は不当に侵害されていない というものでした。 判決では、監査委員不在の法的問題に関する判断は示されなかったため、この結果に納得できない6名が、2002年1月17日に、東京高裁に控訴しました。 控訴審は、2月に1回口頭弁論が開かれ、その日に結審という早さでもう先が見えた感じでした。 同年4月に判決で、やはり敗訴となり、上告審も2002年10月に棄却され、残念ながら高裁判決が確定しました。 高裁判決では 高裁判決全文(PDF) 監査委員不在に関する判断が示されましたが、市には、監査委員不在を回避する義務はなく、監査請求をした住民は住民訴訟を提起できるし、監査委員の不在は一時的なものでさほど支障はないというもの。 国に対しては、監査委員不在とならないよう立法しないことが、国賠法の規定で賠償責任の適用を受けることにはならないというもの。 法の不備は明らかなのに監査委員不在はたいしたことではない、住民には住民訴訟が起こせるという救済制度があるからいいじゃないの、と体制擁護が透けてみえた司法の論理でした。 |